「お手にとってご覧ください」が嫌いな理由。

先日、お洋服を買いに行った。

自宅から電車で少し行ったところの、“やや都心”のファッションビル。

2階はお手頃な値段設定のショップが軒を連ねている。

フロア全体をふらりと見回ったあと、最初の場所に戻って目の前の店から順番に店内に入って行く。

イメージ写真

日頃から接客に関してついつい辛口で見てしまう所があるので、なるべく良い所だけ見ようと心がけているのだが2件目くらいで、ふと違和感を覚えた。

「お手にとってご覧くださ〜い。(上下の抑揚つき)」

じっくり見てもらって、商品の良さを感じて欲しい。

もしくは、手に取ると欲しくなるという人間の心理をついた手法で売り上げにつなげるという趣旨の声かけの言葉なのだろうが、よほどセールでも無い限り、商品を片っ端から手にとって確認することはまず無い。

だが若い女性店員さんは独特なイントネーションで、

「お手にとってご覧くださ〜い。」と言ってきた。

『 うーん…いいのがあればね。』私は心の中でつぶやいた。

同じ店内。欲しいなと思っていた後ろ丈の長いスカートがあった。長さを確認しようと手にとって体に合わせて見ていた。するとまた、

「お手にとってご覧くださぁ〜い。(上下の抑揚つき)」と私の背後から言ってきた。

『手にとっているけど? うん…? 私に言ってるの?』

結局、そのスカートは色が暗くて気に入らなかったので、置いて店を出ようとした。

すると、「ありがとう ございましたぁ〜。(上下の抑揚つき)」

『 うーん…買って無いけどね。』心の中でつぶやいた。

とは言っても、立ち寄ってくださって「ありがとうございました。」という事はわからなくは無い。しかし、その後、そのフロアのどの店に入っても口を揃えて、決まり文句のように、店に踏み入ると、「お手にとってご覧くださぁ〜い。」店を出ようとすると、「ありがとうございましたぁ〜。」と言われた。

なんだか辟易した気持ちのまま、今度は海外アパレル店が軒を連ねる上のフロアに移動した。

1件目。立ち入ると「いらっしゃいませ。」と言われた。

『あっ!「いらっしゃいませ」? あ、そうよ、それよね!』

なんだか安心して商品を見ていると、知らぬ間に私の視界の中に店員さんがいた。

「こちら今週中セールなんですよ。」

 ニコニコしながら声をかけてくれた。

「そうなんですか。セール今週中なのか。でも今週はもう来れないなぁ。今日買って行こうかなー?」

そんな雑談をしながら楽しく店内を見て回った。

結局、何も買わずに店を出ようとしたのだが、

「どうぞまたお立ち寄りください。」 と同じ女性店員さんが声をかけてくれた。

「はい、ありがとう。また来ますー!」

私はスッキリ笑顔で店を出た。

接客の声かけでここまで、客としての気持ちが変わるものかと実感した出来事だった。

・相手(お客さま)をしっかり見る大切さ。

・見よう見まねではなく、自分で考えて言葉を発するということ。

・現場任せではなく管理者、経営者が適切な言葉を用意して、教育すること。

そんな心構え、準備の差が売り上げにも、スタッフのモチベーションにも大きく表れてくるのだろうなと思った。